イタリアワインと土着品種

毎年、ワインの国別生産量第一位の座を争い続けているイタリアワイン。

どの国であっても個性があり、魅力的なワインを生産していますが、とりわけ日本でも人気の高い生産地の一つがイタリアです。

今回は、その魅力の大きな理由となっている「土着品種」について調べてみましょう。

目次

  1. イタリアワインの魅力のひとつは多様性
  2. イタリアでのワイン造りの伝播
  3. 国際品種と原点回帰

1. イタリアワインの魅力、多様性

20の州に分けられる現在のイタリア共和国は、元来別々の国が統合して出来上がりました。ひとつひとつの州は地元意識が強く、各々に歴史や文化を持っています。日本のように南北に長く、海もあり山もあるイタリア半島には、様々な地形が複雑に混在しています。

山奥の土地では保存が効くように、山で獲れる猪を加工したものや、狭い土地でも飼育可能な羊のチーズを使った料理。

海の近くでは新鮮な海産物をごった煮にしたものや、フレッシュなチーズを使った前菜など、素材をそのまま生かした料理、というように。

流通が発達する以前には、地元で作られる農作物、畜産物や漁猟をベースにして地域ごとに郷土料理が生まれました。

州ごとに調達できる調味料や、交易のある他地域の影響も様々。こうしてイタリアには無数の食文化が発達していくのです。

土地ごとの個性が特に濃く、バリエーションが多いのがイタリアの面白いところです。決して「イタリア」で一括りにはされまいとする主張の強さと、自由で陽気な国民性に、私たちはついつい惹かれてしまうのかもしれません。

2.イタリアでのワイン造りの伝播

「土着品種」とは、それぞれの土地固有の葡萄品種です。

現在、政府の認定を受けているものでも400種、細かいクローンも含めると実に2000種以上の葡萄品種がイタリアには存在していると言われていて、土地のアイデンティティとなっているのです。

イタリアにワイン用の葡萄が持ち込まれたのは、今から4000年も前のこと。

ギリシャからアドリア海を渡って、今のカラブリアの土地に持ち込まれと言われています。今でも「ギリシャの」という意味の「グレコ」という白葡萄は南イタリアの代表的な白ワインを生んでいます。

ローマ軍の進駐と共に、葡萄は南から北へと伝わっていきますが、独自の食材や郷土料理に合うように、相応しい葡萄やワインのスタイルが試行錯誤され、そぐわないものは淘汰されていきました。

穏やかな地中海性気候のイタリアは、古代から「エノトリア・テルス(ワインの大地)」と呼ばれ、どの土地も葡萄がよく育ったそうですが、それでもその恵みに甘んじることなく、土地土地の気候条件に最適な葡萄品種を見つけ出していったのです。


ソアヴェ・クラッシコ レ・ビーネ・ディ・コスティオラ 2017

3.国際品種と原点回帰

こうした地産地消がベースだったイタリアも、1970年~80年台には海外市場を意識したワイン造りが潮流となりました。フランス系の国際品種が台頭し、ひとつのムーブメントを起こした結果、イタリアワインの高いポテンシャルが広く世界に認められることとなります。

しかし、2000年以降は土着葡萄でのワイン造りへと回帰しています。それは、アメリカやアジアなどの新興消費国が食中酒としてのワインの魅力に気がつき、イタリアのワインと郷土料理との関係性がマッチしたという面がありました。

また、自然を相手にしている生産者たちは環境問題にも敏感です。サスティナブルな農業を考えたときに、地域に深く根ざした葡萄品種を使い、それを継承していくという選択がイタリアではポピュラーになりつつあるのかもしれません。

フランスやスペイン、オーストリアや東欧の国々でも土着品種は数多く存在していますが、現地の郷土料理を学んできた料理人が多いのはやはりイタリア。

日本との共通点も多い国ですから、日本の特産品とイタリアの土着品種を合わせていくのも、とても面白い試みです。ぜひ地図を広げながら楽しんでみてください。


エディツィオーネ チンクエ・アウトクトニ 2017

Written by Jun Murakami