ドメーヌとネゴシアン

ブルゴーニュ地方の生産者のスタイルには昔から2種類のスタイルがあります。
それが「ネゴシアン」と「ドメーヌ」です。

両者の造るワインにはそれぞれ特徴があり、ワインを選ぶ際のひとつの指標となります。

今回は、これらの特徴を簡単にまとめていきましょう。

目次

1.制度上必要だった「ネゴシアン」
2.反旗を翻した「ドメーヌ」
3.ネゴシアンの良いところ
4.現代に登場した「マイクロネゴシアン」
5.まとめ

1.制度上必要だった「ネゴシアン」

19世紀初頭のナポレオン法典のに公布により、ブルゴーニュの畑の相続は子ども全員に均等に分割されるようになりました。
そのため、代が変わるごとに一人の生産者が持つ畑の規模は、どんどんと小さくなっていきます。

出来高の減少は経済力の低下につながり、ワインを造るための設備を買う資金もなく、裕福で大規模なワイン商=ネゴシアンが葡萄や原酒を買い取ることで彼らの生活を支えていたのです。

ワインを販売する権利はネゴシアンがすべて持ち、葡萄農家=ドメーヌは黙って彼らに葡萄を納める以外ありませんでした。

2.反旗を翻した「ドメーヌ」

しかし、こうした不遇を受けていた葡萄農家たちが、一致団結して反旗を翻したのが1930年代のこと。

彼らは組合を作り、資金を出し合ってワイナリーを創設。
こうして、自らの畑で栽培した葡萄を醸造し、瓶詰めし、出荷するという現在のドメーヌのフローが担保されるようになります。

ワイナリーの意思を色濃く反映する個性的なドメーヌのワインは、国内のレストランや海外の市場で高く評価されるようになり、1990年代には50%近くがドメーヌ元詰めのワインとなりました。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティを始めとした数多くのスター生産者が現れ、世界中のワインファンを唸らせます。

3.ネゴシアンの良いところ

これまでの話の流れでは、安定供給だが没個性のネゴシアン、不安定だがエッジの効いたドメーヌという大雑把な図式になりそうですが、実際には少し事情は異なります。

ドメーヌの隆盛を受けたネゴシアンも、自社の個性を表現するためにより農家との連携を強化したり、葡萄の栽培にも細かい配慮をするようになったりと品質の向上に尽力していきました。

元々広範囲の葡萄や原料ワインの目利きに優れたノウハウを持っているのがネゴシアンの強み。

比較的安価な割に掘り出し物のバックヴィンテージが出てきたりするのも、ネゴシアンワインの大きな特徴です。
また、優れたブレンドによってテロワールの中央値を抑えたワインになるために安心感もあります。

4.現代に登場した「マイクロネゴシアン」

一方、近年登場して話題になっているのが「マイクロ・ネゴシアン」という新しいスタイルの生産者の存在です。

ブルゴーニの地価の高騰が止まらず、新たな畑を購入することが困難なこと、相続税の支払い問題で昔ながらの家族経営のドメーヌが、泣く泣く企業に身売りをせざるを得なくなっていることなどを背景に、初期投資を抑える極少量の買い付けのみでワインメイクをするというスタイルです。

彼らは1~2樽といった本当に少量分の葡萄を買い付けますが、畑仕事にも積極的に関わるのが特徴。

契約している葡萄農家に出向いて栽培を手伝い、自分たちの求める最良な状態の葡萄を作るところから始めます。

まさにドメーヌとネゴシアンの中間のような存在ですが、ひとつひとつのクオリティは驚くほど高く、またかなり限られた本数しか生産されません。
そのため高評価を得た生産者のワインは毎年値上がりを続けています。

5.まとめ

さて、ネゴシアン、ドメーヌそしてマイクロネゴシアンという三者三様のブルゴーニュの生産方式、いかがでしたでしょうか?

土地の基本的な味がまとまり、比較的安価なのがネゴシアン、個性がはっきりして、人気の畑や生産者はやや高額になることもあるのがドメーヌ、そしてワインファン垂涎、入手困難、新進気鋭のマイクロネゴシアンといったところでしょうか。

ブルゴーニュのワインを見かけたときや、購入される際には、どういったスタイルの生産者なのかを気にしてみるのも面白いと思いますよ。

Written by Jun Murakami