ワインの味わいを推理するためのコツ ボトルの形

飲んだことのないワインの味を推理するポイントを考えてみましょう。
外見からも得られる情報はいくつかあります。例えば、ラベルの読み方やインポーター、値段や売り場の作り方などなど・・

その中でも、ひとつの大きなヒントになり得るのが、ボトルの形です。
スーパーやコンビニであっても、ワイン売り場には色々な形のボトルがあることに気がつきますね。

元々は、それぞれの形に意味があって生まれたものですので、基本的な形状と味わいの相関関係がわかると、ワインを飲む前にそれがどんなキャラクターなのかを推理することができます。

まずボトルデザインを大きなカテゴリーに分けて、味わいの傾向を整頓していきましょう。途中、気をつけたいポイントもお伝えしますね。

目次

  1. 超基本のボルドー型、ブルゴーニュ型の由来
  2. ライン・モーゼルが細長い理由
  3. 見た目に騙された!こんなワインに気をつけて
  4. ボトルの形もワインの表現の一つ

1.超基本のボルドー型、ブルゴーニュ型の由来

ボルドー型は肩の張った、やや長身のボトル。

ボルドーワインは元々、タンニンが多く滓(おり)の出やすいワインです。かつてはフィルタリングの技術も低かったので、瓶口で滓を堰き止めるために、いかり肩のボトルになりました。

基本的なボルドー品種(カベルネやメルロー)を使用した赤ワインや、パワフルなフルボディの赤ワインに使用されます。

白ワインにもよく使われている形ですが、多くはフレッシュでドライな味わいの傾向。ボルドーの白葡萄品種であるソーヴィニヨン・ブランは、その他の地域でもこの形が使われることが多いです。


シャトー・シャントリュンヌ 2018

ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー 2018

 

ブルゴーニュ型はなで肩で、やや背の低いボトル。

ブルゴーニュはボルドーほど滓の出やすいスタイルのワインではなかったことと、貯蔵しておくカーヴの省スペースのため、瓶口と瓶底を互い違いに置けるように、なで肩の形になったと言われています。

ブルゴーニュの代表品種であるピノ・ノワールやシャルドネを使用したワインは、他の地域でもこのブルゴーニュ型ボトルに詰められることが多いです。

ピノ・ノワールのような繊細で香りの豊かな赤ワイン、例えばイタリアのネッビオーロ種などにもこのボトルは使われています。

ブルゴーニュ地方の南に続く、ローヌ地方のシラーやグルナッシュといった品種でも使用されていますが、オーストラリアのシラーズ種は濃厚なフルボディのため、ボルドー型が好んで選ばれているようです。

白では、シャルドネ種で特に木樽を使用したワインに、このなで肩が採用されていますが、シャルドネ以外にも広く使われます。


ピノ・ノワール カーネロス 2018

シャルドネ ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2018

 

2.ライン・モーゼルが細長い理由

このボトルの形は「ライン・モーゼル型」と呼ばれ、ドイツの白ワインに古くから採用されているものです(一部赤ワインも)。

ややフルーティな味わいの、ドイツ系品種の生産が盛んなフランス北部のアルザス地方や、北イタリアのアルト・アディジェでもこのボトルが使われています。ニューワールドでも同様の品種を使用した白ワインは、この長いボトルに瓶詰めすることがあります。

ワインを冷やすときに、氷水との触れる面が広いほど冷却効率が高まるために、このような形になったと言われています。

さすが白ワインの生産が豊かなドイツ圏ならではの工夫と言えますね。

ということは、しっかり冷やすことで味わいが高まるアロマチックな白ワインには、このボトルが使われているということです。


リースリング レゼルヴ 2017

 

以上の3つのボトルデザインを基本的に押さえておくことで、大まかな味わいのパターンを推測することができます。

赤ワイン

ボルドー型:ボルドー品種やミディアム〜フルボディのしっかりと重たいタイプ

ブルゴーニュ型:ピノ・ノワールやライト〜ミディアムボディの華やかで繊細なタイプ

 

白ワイン

ボルドー型:ハーブの香りが特徴のソーヴィニヨン・ブランやフレッシュでドライなタイプ

ブルゴーニュ型:シャルドネや木樽使用のリッチなタイプ

ライン・モーゼル型:リースリングやピノ・ブランなどのドイツ系品種やアロマチックでややフルーティなタイプ

 

3.見た目に騙された!こんなワインに気をつけて

しかし例外もあるために、形だけで決めつけると失敗することもあります。

そこで、私が今まで出会ったワインの中で、例外と言えるものを紹介します。

●廉価ワイン

リーズナブルな価格のワインには、このパターンに合わないものが多く存在します。
品種ごとにバラエティーを組んだシリーズなど、ルックスを統一させてブランディングしているようなワインはボトルの形だけで判断することはできません。

●イタリアワイン

DOPなどの原産地呼称が早くから制度化されたイタリアですが、その枠組みに捉われない自由なワインも品質が高く、評価を受けています。
このようなワインは大胆なデザインもあり、ボルドー品種がブルゴーニュボトルに入っている、というようなこともしばしば見られます。

●ナチュールワイン

最近ではビオや有機農法で葡萄を栽培する「自然派」と呼ばれる生産者の造るナチュールワインも、一定のファン層を獲得するようになりました。
こうしたナチュールの生産者たちも、既成概念を打ち壊すようなボトルデザインを採用しています。基本の750mlのボトルではなく、500mlや1000mlのような規格外の大きさもあります。

 

この3つの例に限らず、クラシックなスタイルの生産者は昔からの伝統に則って、革新的な生産者はあえてセオリーを外してボトルを選ぶこともあるということを覚えておいてくださいね。

4.ボトルの形もワインの表現の一つ

多くの生産者たちは造ったワインを我が子のように愛していて、葡萄作りから瓶詰めに至るまで個性の表現と考えています。

ワインが飲み手にどんな印象を与えられるか。

ラベルや形状を含めたボトルのデザインは、自分が精魂込めて生み出したワインの世界観の中に含まれるものです。

ボトル形状の基礎は、生産者の意図を感じるためのチェックポイントのひとつ。
大切な要素ですので、頭の片隅に置いておくだけでワインの見方もガラッと変わるかもしれません


エディツィオーネ チンクエ・アウトクトニ 2017

ニュイ・ブランシュ "ユイイツ" シャルドネ 2017

Written by Jun Murakami